→2018/国内編
今年私が出会って好きになった曲を国内/国外に分けて紹介します。記事中の3/9は2018年に発表された曲じゃなくなったけど、(まだ最終決定すらしてないが)国外になると更にこの比率高くなりそうだけど、記録として、そして何より書いてる私がめちゃ楽しいのでここに残しておこうと思いまーす。極私的な年間ベスト。
JUMP/ROTH BART BARON
好きなモノを説明するのに「この曲はCメロの歌詞が…」「あの映画は終盤のシーンが…」みたいに多くの言葉を使うようになった気がする。それは他人に自分がいかに私の好きなモノ、人、音楽が素晴らしいかって伝えたいって面もあったけど、そんな風に理屈立てないと好きなことを伝えられない自分に少し嫌気も差していたところだ。
この曲はなんかもう、説明出来ない。いや出来るかもしれないけど、その要素要素一つ一つを伝えても、私が言及しなかった要素も全て重なり合わさっていないとこの曲の魅力は伝わる気がしない。そんな曲。
「僕ら欲張りなんだ呆れるくらい/全てが欲しい/全てを見たい」
ともすれば絵空事だと、楽観的と軽蔑の目線を向けられかねないほど、ポジティブに輝くエネルギーを放つ曲。こういうのがアンセムなんだろうなと思う。
そして一聴すると純粋で潔白に見える世界観の中にも「怪物になって/君を飲み込んで/そうすればずっと一緒に居られるでしょ?」と剥き出しの欲望を紛れ込ませるセンス。「でもそれが本当の願いってものでしょ?」そう言われた気分。
シーグラス/ストレイテナー
4年前のアルバムからストレイテナーをきちんと追わなくなったな…とふと思い立ってSpotifyで近作2枚を一気に聴いて度肝を抜かれた。特に2年前発表のCOLD DISC。
曲ごとのキャラが立ってる(印象が被る曲が無い)。曲順がスムースかつ「ここにこの曲を置く意味」がちゃんとある。シングル等先行公開された曲を上回る程インパクトのあるアルバム曲がちゃんとある。そして冗長にならない程度の尺。
私が掲げる名盤基準を全てクリアしたCOLD DISC。文句なしの名作だと思います。秋に一番聴いたアルバムかもしれない。
シンセのメロディがモロ80'sテイストなダンスミュージックとバンド感の融合が本当に見事だったAlternative Dancerか、「こんがり焦げたトーストみたいな歌声」とスピッツのマサムネさんが評していたのも頷ける秦基博の豊かなボーカルに聴き惚れたコラボ曲の灯りと最後まで悩みましたが、ストレイテナーで好きな曲は?と聞かれて即答する曲の座からネクサスを引き摺り下ろしたこの曲で。新しいスタンダード。ストレイテナー、やはり迂闊に無視出来ないバンド。
人生は夢だらけ/椎名林檎
東京事変時代も含めて、私は椎名林檎の熱心なファンって訳ではなくて。
ただ、椎名林檎が関わった作品の中には、好き嫌いを超えた、胸に深く突き刺さったまま抜けない曲ってやつがごく稀にある。人生の、生きることもののあはれを見事に歌い上げた東京事変の「生きる」、そしてこの曲も。
「きっと違いの分かる人はいます/そう信じて丁寧に拵えて居ましょう」いち作家としての信念を静かに語る歌詞、過剰なまでに賑やかに雪崩れ込むオケ、漏れたため息の計算し尽くされた可愛らしさ、色々あるけど、とりあえずこの映像を、屈強な男衆を従えてマイクを高らかに掲げる椎名林檎を見てほしい。私は椅子の上で腰を抜かした。何て勇ましさ。超然。
「そう貴方のように居たいです富士山」
オーケストラを観にいこう/UNISON SQUARE GARDEN
2017年から2018年となった瞬間発売がアナウンスされたUNISON SQUARE GARDENの新作。もうこのバンドは結局期待を外さないってつくづく思い知らされました。傑作。
近年とどまる所を知らなかったテンポの加速化やギミックだらけの曲群に少しアレルギー反応を起こしてた私にとって、今作に収録された「何の奇も衒わない普通の超いい曲たち」は他のバンドのそれより輝きが増して見えた。その極め付けがこの曲。素直な曲展開。優雅でありながら少しの狂気すら感じるストリングスアレンジ。そしてそれを押しのけるような存在感を放つ、アウトロの空にも届きそうな伸び伸びとした声。それだけで十二分。
貼れる動画もストリーミングのリンクも無くてフル尺はすぐに聴かせられないのが残念なのでこれだけ、UNISON SQUARE GARDENが今年出したMODE MOOD MODEというアルバムは全ての音楽好きな人に聴いてほしい。出来ることなら今すぐTSUTAYAに走って欲しいし、私はこのバンドをもっと多くの音楽が好きな人たちに聴かれて欲しいのです。日本だのロキノンだのアニソンだの、そんな色眼鏡越しに見られるには勿体ないバンドです。
「UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2018 MODE MOOD MODE at Omiya Sonic City 2018.06.29」トレイラー
これの1分12秒〜でサビだけ聴けますよ。というかこのDVDになってるツアーもまた最高なので以下略。
「どんな名演奏よりも綺麗な自信はあるんだよ だけどさ 届け方は皆目見当がつかない!」田淵智也の作詞家としてのロマンチストっぷり、大好きですよ。
composition8 /mahol-hul
とあるフェスで初めて聴いて物販でCD買うまであっという間だった。そんなバンドに出会えたの久しぶり。
ベース・ツインギター・ツインドラムのインストバンド。編成だけ読むと何てややこしそうなバンドなんだって思うかもしれない。けど各々の楽器の棲み分けが完璧になされていたなら「難しさ」を「楽しさ」が上回る。
私は好きだけど、インストって食わず嫌いされがちなジャンルだと思うんです。歌がない。展開が聞きなれたA→B→サビじゃない。楽器の巧さって触ったことある人にしか分からないetc... そういった敷居を下げてくれる存在だと本気で思います。
それにしてもこのツインドラムのアレンジは本当に緻密に組み立てられていて何度聞き直しても感服する。きっとこのバンドを聴いて楽器を始めたくなる人って沢山いるんだろうなぁ。
叙情詩/L'Arc~en~Ciel
およそ二年間かけたラルクの作品集コンプリートが無事先日終わりました。もろに世代なのにREADY STEADY GOのサビくらいしか知らなかった私ですが、いやー濃ゆい濃ゆいこのバンド。「ラルクは日本で流行った洋楽を丸々飲み込んだ存在」という一文をネットのどこかで見かけた時は膝を叩きました。まさに。
耽美なニューウェーブに端を発してハードロックにJ-POPの爽快なメロディー、そしてエレクトロニカまで消化した上で一つのバンドとして曲を作る特異性、そしてとっ散らかった曲群を纏めて、ラルクたらしめるのはhydeの歌声なんだな、と。もうファンからしたら当たり前だろ!って言われそうですけどね。
花葬のサビ前で上げる嬌声(これって女性に使う言葉だけど、もうアレは嬌声と呼んで良いでしょう)もそうだし、Piecesの母性と父性が入り混じったようなある種中性的な歌詞が「似合う」のはhydeを置いて他ならないなと。その真骨頂がこの曲。SEVENTH HEAVENもそうだけど、hydeってちょっと低めの音域で滅茶苦茶いい声出ますよね。そういう人って意外とと思い浮かばない。
これを書いてる今(12/8深夜)ライブがどうなったか分からないけど、こんな冬にピッタリな曲を東京ドームで聴けたら嬉しいなぁ。ちなみにYouTube貼らないのはお察し下さい。
Pendulum/D.A.N.
今年はD.A.N.が私の中で「割と良いバンド」から「めちゃくちゃ好きな推しバンド」になった一年。
「D.A.N.」「TEMPEST」とクラブ寄りな曲を作り続けてきて、今作では音作りの方向性は変えずにメロディーや、特定のイメージを想起させる歌詞がより押し出されていた感じがして。しっかりと踊らせる曲が固まったアルバム前半からSEを挟んで始まる、深夜2時のクラブが似合いそうな後半の流れがとにかく好みでした。
元々浮遊感をうまく表せる声に歌詞のSF的世界観がドンズバでかけ合わさっていたこの曲が特にお気に入り。誰もいない宇宙に一人で放り出される感覚が味わえる。
今年はThe xxの前座と、念願の単独公演でライブを観れました。世間の潮流に同調しているようで微妙に馴染みきっていない、我が道を進む彼らが大好きです。
Reason of Black Color/雨のパレード
色々書こうと思っても言いたい事は一つだった。もう音楽もアートワークも演奏している様も、あなた達に纏わる全てが格好良すぎて降参です。
雨のパレード - Reason of Black Color ~YouTube Edition~
私はスピッツ主催の対バンで初めてこのバンドに出会ったのですが、とにかくこの四人格好いいなあ…と終始見入ってしまった。
あんまり他のバンド出すのも良くないかもしれないけど。今注目を浴びるバンドって音楽的には優れていてもメンバーに「華」を感じ取れない時が大多数で。「華」ってすごく抽象的だし自分でも説明しにくい概念だけど、何もせずとも格好いいな、この人って音楽してなかったら何してるんだろう、って思わせる、少し現実から浮いてる感じ。
それを持ってる人たちに久しく出会っていなかった気がする。ジャンルも雰囲気も全く違うけど、ステージに上がって楽器を構えるだけでもう格好良い!ってなれるあの感じはTHE NOVEMBERSに近い。
今のアーティストってバンド・ソロと形態は問わずこういう音楽と、物販販売やSNS運用等の音楽にまつわる活動をこんな風にやりたい人いっぱい居るだろうけど、ここまでスタイリッシュに、しかも各々が確固たるスキルを持ったバンド編成でやられたらちょっと太刀打ち出来ないよなぁ。羨ましさすら感じてしまうよ。
Movie Palace/世武裕子
年々、元々好きな人たちが作る音楽以外で一聴して雷が落ちるような衝撃を味わうことが減ってきた。それだけ私のボキャブラリーが音楽を聴き始めた時と比べて増えたことの証なのかもしれないけど、寂しくもある。前述したロットの曲と、これが今年の私にその衝撃を与えてくれた。
好きな理由は私的オールタイムベストバンドの一つであるPortisheadをどこか思わせる曲だから、ってだけではあるけれど。朝ドラのテーマを手がけて、ミスチルのサポートする方がソロでこんな路線の曲を作られているなんて素晴らしい振れ幅の大きさじゃないですか。この方のソロは掘り甲斐がありそう。
国内編はこれで終わり。いやー格好いい音楽で溢れかえっちゃってて困りますね日本。しかも海の向こうには日本より遥かに多くの人が音楽作っちゃってるもんだからもう大変。新しい音楽と出会うのはいつだって最高に楽しい。
来年はノベンバとバインが既にフルアルバムリリースを予告してるし、スピッツも3年スパンで新作を出すのがほぼ確定してる年だし、ユニゾンは15周年で何かを派手にやってくれそうな予感を匂わせているし、そしてdownyが1月のライブで再び活動する事もアナウンスされた。好きな日本のバンドが軒並み活動してくれそうで嬉しい。