2018/04/22 CROSSING CARNIVAL

ゴールデンウィークを目前に控えた4月の日曜日、CINRA主催のサーキットイベント、CROSSING CARNIVALへ。

開始時間をだいぶ過ぎてのんびりと向かうと、渋谷のラブホ街が既に一つ目のアクトを見たであろう人達の熱気で溢れかえっていた。長らくフェスに行っていなかったから忘れていた、あの群衆の興奮に煽られる感じ。今更ながらにワクワクしてきた。

 

私はGRAPEVINETHE NOVEMBERS→worlds end girlfriendという流れで。どれも良かったのだけど、中でもダンサーとのコラボの親和性が凄まじかったGRAPEVINEを中心に書きたいと思います。

 

 

GRAPEVINE

  1. MISOGI
  2. 羽根
  3. FLY
  4. なしくずしの愛
  5. Sing
  6. KOL(キックアウト ラバー)
  7. Arma

4~6でダンサー 康本雅子氏が参加)

 

今回のサーキット参加を決定付けたのがこのGRAPEVINE×康本雅子氏のコラボレーションでした。

 

音楽を聴いている時に脳裏に映像や色が浮かぶ事はよくあるのですが、私の中ではGRAPEVINEはライブを観ている時でさえそれが起こる唯一のバンドで。

だから今回のコラボレーションで、物語性の強いGRAPEVINEの曲と康本氏のダンスがどんな相乗効果を生むのかか楽しみで仕方無かったのですが、とんでもない物を観てしまった

 

FLY

あまりライブで聴いた記憶が無いから、前からやっていたか定かでは無いのですけれど、イントロのアレンジで滅茶苦茶ワクワクした。西川さんがアルペジオ弾いて、ベースがフェードインしてくる、原曲より浮遊感が増したアレンジ。雲を突き抜けるようなギターソロも相まって、本当に空に飛んでいけそう。

 

 

なしくずしの愛

なしくずしの愛が始まってすぐ、袖から凛とした姿勢でステージに歩み出る影が。この方が康本雅子さんだ、と視線が集まる。

「夜の旅の始まりだ」腕を大きく広げて静止する。これから始まる旅路への期待と不安を表すような。

最初は西川さん側から出て来て、演奏が進むと共にステージ前方を横切って、なしくずしの中盤からは金戸さんの横で踊っていた。

 

腕を振りかざし、見えない敵がステージにいるかのようにキックを繰り出したりと、全身が躍動する様が美しかった。ギターソロになるとその動きはどんどん激しさを増していき、ブレイクした瞬間に崩れ落ちる。ピアノの不穏な旋律が流れる中で、ドラムをじっと見据える目つきがあまりにも真っ直ぐで少し怖くなった。

 

 

Sing

なしくずしの愛が終わると康本氏が袖にハケておや?と思っていると、Singの演奏が始まり、サブステージの照明が点く。椅子がポツンと置いてあるそこへ康本氏がふらりと現れた。

それまで羽織っていたオレンジのパーカーを脱いで椅子にかけて、鳥のように両腕を伸ばす。旅を終えて、荷物をその辺に投げ捨てて羽根を伸ばしているみたいに。

しばらくクルクル回ったりと自由を謳歌した康本氏は椅子に座り、今度はキュウリを齧っては吐き出し、齧っては吐き。キュウリを食べきると本を取り出し、やはり苛立った素振りでページをめくり続けて最後には投げ捨てる。

 

それを見ている時、「やり場のない/この想いは」と歌う声が聴こえて、ハッとした。Singって、こんなに哀しい曲だったんだ。誰にも聞かれることのない悲鳴のような。

Singはアルバムぐるみで大好きで、もう何度も繰り返し聴いていた曲なのに、康本氏のパフォーマンスが加わってやっとこの曲にはやるせなさ、虚無感が込められていたんだって分かった。

 

本で顔を覆いながら、スライドギターのソロのリズムに合わせて手足を痙攣させる康本氏。私には向ける先を失った怒りとか悲しみに震えているように見えた。

 

 

KOL

少し感動的ですらあったSingからKOLへ。田中さんと、メインステージに戻ってきた康本氏が視線を合わせてニヤッと笑いあっているのが見えて、ああやってる本人達も良い感じなんだな、って分かった。

KOLの泥臭い感じと野性味溢れるダンスってまた良い食い合わせだなあ、と眺めていると、間奏でなんと康本氏が観客席に転がり込んできた。動揺する観客をかき分けて進み、ラスサビに到達する辺りには真ん中あたりのバーによじ登り、観客から奪った帽子を被って煽っていた。ホントにバインのライブか!?って疑うレベルの盛り上がりを演出するだけして、再びステージに転がり込んでいく。

 

普段じゃあり得ない光景に刺激されたのか、KOLのアウトロで金戸さんがグッと前に出てきてベースを弾く。たまにフロント三人が前に出てきてアピールするのを見るけどやっぱりアガるなあ。

 

最高潮の熱量に達した状態で演奏が終わり、田中さんも興奮した口調で「康本雅子さんでしたー!いやー凄かった!良かった!」と拍手。

 

Arma

康本氏が退場して、最後はArma。メンバー全員が晴れやかな顔付きで演奏していたのがすごい印象に残っている。なんなら前回のツアーファイナルで聴いた時よりも清々しいArma

この曲ってアルバムでもライブでも、最初か最後に置かれて真価を発揮される気が。始まりのファンファレーであり、これからも宜しくっていう暫しの別れの挨拶でもあり。

 

本当に良いライブでした。最初の3曲からギア全開だった演奏が、ダンスに煽られてリミッター解除されたようだった。現場でしか絶対に味わえない事件。

 

 

 

THE NOVEMBERS

  1. Hallelujah
  2. 鉄の夢
  3. Wire
  4. Xeno
  5. BE MY BABYCOMPLEX Cover
  6. Ghostドレスコーズ
  7. Gilmore guilt more

5~7で志磨遼平参加)

 

 

鉄の夢

「ほんの少しの足の踏み場も無いな」でブレイクを作るアレンジ!ノベンバはこういう一瞬の空白を作るアレンジが堪らない。

鉄の夢が終わってから、Wireが始まるまでの一瞬の静寂が懐かしかった。私がノベンバを観に行き始めた頃にあった、ステージから放たれる覇気に圧倒され過ぎて拍手すら憚れる空気。それくらい、この日の鉄の夢は殺気に満ち溢れていた。

 

 

BE MY BABY(COMPLEX Cover)

じゃあゲストを呼びますね、と言うや否や突如流れ出す『BE MY BABY!BE MY BABY!』のコーラスに場内がどよめいていると、ノベンバのゲスト、志磨遼平が登場。

実は志磨遼平という人をこの日初めて観たのですが、昔ながらのロックスターという感じの雰囲気に視線が釘付けだった。現実から一つ浮いている、ステージの住人。

 

というかBE MY BABYが流れ出した時にまさかのペレ草田さん登場か!?と思ったのは私だけでしょうか。

 

 

Gilmore guilt more

アカペラから入って、テンポを落とした8ビートのドラムが入ってくる重いアレンジ。さながら重戦車のような。

この曲はライブで聴く度にアレンジが変わって、毎回いつ小林さんの叫びがくるのかドキドキする。

 

そして中盤、ベースリフが続く所でおもむろに志磨遼平が最前線の客に近づき、肩車させて客席を練り歩く。そして最後、バンドの演奏が爆発する直前、ステージに戻ると見せかけてまさかのダイブ。

個人的に私、ダイバーが続出するようなライブに行った事が無いので、まさかのノベンバでダイブ受け止め童貞を卒業しました。なんてこと。。笑

 

 

 

worlds end girlfiend

音源ではよく聴いていたのですが、生で聴く機会に恵まれなかったので今回やっと見れて良かったです。

生で聴くと剛柔自在なドラムが本当に凄まじかった。腕の動きはしなやかなのに一音一音が本当に重く、そしてメリハリのついたドラム。めちゃくちゃヘビーなのに聴きやすいっていう。

そして次々と音色を変えて曲想を膨らませる二本のギター。素晴らしかった。

 

 

 

大森靖子

wegのゲストで出てきて、その後も何曲か。

私は初めて曲も聴いたし、正直家に帰ってから聴き直すことは無いんだろうなあ、って思いながら観ていましたがああこの人は本当に素直過ぎる人なんだろうなあ。と感じました。少し私の中にあった色眼鏡が外れました。

 

 

タイトルにもなっている「クロス」っていうテーマが根底にあってとても良いイベントでした。

ライブの現場ではいつ事件が起こるか分からない、そのワクワク感を存分に感じられて楽しかったです。