MODE MOOD MODE/UNISON SQUARE GARDEN
MODE MOOD MODE/UNISON SQUARE GARDEN
UNISON SQUARE GARDEN、7枚目のアルバム。3回程聴いた感想を一言、今回は傑作だと思います。
今回のアルバム、ファンの方は1周目は曲順・曲名を知らずに聴いた方が絶対に楽しいので、その方々には読んで欲しくないのと、あと一部ディスってる文章あるんでこのバンドの悪口言われると嫌な気分になる方も読まない方がお互いの為だと思うので回れ右して下さい。
ユニゾンのアルバムを初めて聴いた時「良いなあ」って思うのはいつもの事なのですが、今回はそれだけじゃなくて「これならもっと広く世の中に受け入れられそう」とも思いました。
年明けにアルバムが発表された時、楽しみでもあったのですが、正直な所、不安もあって。それは「Dr. Izzyから更に踏み込んで演奏テクの限界を突破するような曲ばかりだったらどうしよう」、「シングル曲と同じで、展開がやたらと目まぐるしい曲ばかりだったらどうしよう」という不安。
6th辺りから、やたらとテンポが早かったりギッチギチに詰め込められた歌詞を情報量過多に感じる時がありまして。その感覚が更に強くなったのが昨年のシングル群。
以前、ライブレポで一言「最近のシングルで好きになりきれない部分があり」、と濁した言葉で書きましたが、これは2017年にリリースされたシングルの後半2曲の事を指していて。具体的に書くとInvisible Sensation2番Aメロの突然激しくなる所、2番サビ明けのCメロ。fake town babyなら間奏明けCメロ。個人的に複数の曲を無理矢理詰め込んだような曲が元々好きじゃない、というのもありますが、そこでそういっちゃう?って思ったり。展開が目まぐるしくして演奏力高い事が評価される所なの?とか思ったり。
あと「生きて欲しい!」なんてそりゃイケメンが言ったら女性陣大歓喜に決まっとるわ流石にあざといわ。
だから、いくら斎藤さんがこの曲好きって言ってても、Invisible Sensationだけは未だに好きじゃないです。この曲に関してはあざとさが悪い方向に向かってると思うから。
そんな訳で今回のアルバムで心離れたら嫌だなーとか思いつつもきっちりフラゲして聴いたMODE MOOD MODE。何ですかこれ凄くイイ。
相変わらず謎なキメがある曲がありつつも、良いメロディーとシンプルな演奏だけで良い曲として成り立っている曲がアルバム曲でちゃんとあったのが何よりも嬉しかった。具体的に言うと2, 3, 10, 12曲目。
この辺の曲はアニソンとか最近の日本のバンド(って一括りにするのは失礼だけど、敢えて使わせてもらいました)にアレルギーがある人からも好まれそうな、「良い曲」たち。
以下、アルバム曲の一言感想をつらつらと。
1.Own Civilization(nano-mile met)
「グランジ風ってまさかねぇ」とか冗談半分でヘラヘラしながら再生ボタン押したら本当にSmells Like Teen Spiritで爆笑しました。「7 枚 めっ!」
2.Dizzy Trickster
憧れのロックスターへの羨望を描いた歌詞と疾走感溢れる演奏のマッチンングがとても気持ち良い、ユニゾンの王道を往く曲。
「この高揚感は誰にも奪えない」そう、本当にそうだ。
3.オーケストラを観にいこう
存外に直球なタイトルのオーケストラ曲、歌詞も直球で1週目はおっとなりました。「缶コーヒー開けるみたいに」って例え、スピッツを思い出す。
インタビューで話題に上がっていたけど、これシングルで出して欲しかったですね。変化球多めな近年のシングルにこんなストレート160kmな球がきたら逆に反響良さそう。妄想が止まらない。
蛇足ですが次回ツアーの時に「ロックバンドを観にいこう」ってツイートするファンが絶対現れるに100ペリカ。
4.静謐甘美秋暮抒情
あまりこういうジャンルに触れてきていないのですが、ブラックミュージックっぽい曲。ブルース風味なマジョリティ・リポートに続く黒っぽいシリーズ第二弾。
お酒飲んでユラユラ踊ったら気持ち良さげで、今回ライブが楽しみな曲の一つ。鈴木さんがMUSICAのインタビューで「やっとスキマを残した曲を作れた」って仰っていたのが印象的です。
宇多田ヒカルが歌っているのも聴いてみたいな、と改めて聴いてふと思いました。斎藤さんとはまた違う色気が出そうで良いカバーになりそう。
5.MIDNIGHT JUNGLE
自分は参加していないので文字情報だけで知っていはいましたが、Dr. Izzyツアー後半戦でやってたらしい曲。これからライブで確実にキラーチューンの仲間入りしそう。
この曲は何と言っても歌詞がキラーフレーズの宝庫すぎて。「煉って 千切って 桜吹雪」の演奏とのコンビネーションが秀逸だし、「スタンドの兄ちゃんもこぞって責め立てるって 何様」「無礼講の履き違えはkey違い」そういう事って現実にあるけど、このノリで捲し立てられたら楽しくなっちゃう不思議。
あとギターソロ前のシャウトで今回2回目の爆笑が入りました。こういう悪ノリは大好物です。
6.フィクションフリーククライシス
今回のアルバムの摩訶不思議曲枠、SF曲。テクノっぽい、との前評判でしたが第一印象は完全にプログレです。何じゃこりゃ。
間奏明け、「~見つかっちゃうのでディレクターズカット」のメロディーが力技すぎて、笑いを通り越してポカーンとしまいました。そこからのキメの応酬で更にあんぐりと開きました。そこから「ドジョウの分際で したり顔で 最もそうな理由つけてんじゃねえよ」って畳み掛けるのに痺れた。
それにしても、この曲をレコーディング最後の方に「遊びが足りない」って即興で作ったとかちょっと信じられない。あまりメンバーを不用意に持ち上げるのは好きじゃないけど、本当にキテる。
7.夢が覚めたら(at that river)
正直に書くと、1週目で思わず泣きそうになってしまいました。
今までのユニゾンのディスコグラフィにはありそうで無かった、ギターバンドがアルバムに1曲位入れる壮大な曲。とはいえただのバラードではなくって力強い演奏でドラマチックにしているのがグッときました。
自分が日本語詞の曲を聴いている時は、大きく分けて「何らかの情景が浮かぶバンド」と「そのバンドが演奏しているステージが脳裏に浮かぶバンド」の二種類がありまして。自分にとってユニゾンの場合は、初期の曲以外は基本的に後者だったのですが、この曲は本当に久しぶりに情景が浮かんでくる方の曲でした。ちなみに前者はスピッツとGRAPEVINE、後者はモーサム等のバンドが代表格です。
言葉遊びで楽しむ歌詞も好きですが、これからはこういう歌詞も増えてきたら嬉しいなあ。
「この答えが少し報われて欲しい思うから」 「思うから」の所で一回上がって下がるメロディーがギターソロみたいで本当に綺麗。これライブの最後とかに演奏されたらヤバそうで楽しみ。
一番最初に書いた、「良いバンドが、良い曲を、素直に演奏する」多幸感を存分に味わった曲。
8.君の瞳に恋してない
PVが公開されていたけど、アルバムまで封印しておいたので、最初は「あれ、こんなあっさり?」と少々肩透かしだったのですが、2回3回と聴き込む内にどんどん好きになって、しまいにはサビがずっと脳内ループする始末。何だか口ずさみたくなる爽やかなメロディー。
「カラクリ」「センチメント」って、あの曲の事なんでしょうか。どうなんでしょうね。
あっさり書くつもりが途中から熱が入って細かく書いてしまいました。それ位、今回は語りたくなるアルバム。
歌詞を詰め込まなくったって、大げさな展開をしなくたって、名曲は誕生するんだから、こういうストレートな感じでも曲を作って欲しいなって思いました。自分は。
話が変わりますが、今までユニゾンを勧める時、どのアルバムを渡せば良いのかな、っていうのが悩みの種で。
1stは完成度高いけど荒削りでその後の曲とのイメージの乖離が大きすぎる、2ndは曲順がちょっと…、4th,5thはそれぞれ1枚目には極端すぎる、6thは変にバカテク推しバンドとか思われそう。やっぱりロックとポップのバランスも曲順も良く、一番知られてる曲も入ってる3rdかな。って結論付けてましたが、これからはこのアルバムを多分渡します。他のバンドが持っていない「らしさ」もありつつ、純粋な良い曲もふんだんに入っているから。
このアルバムを取っ掛かりにして幅広い世代の人にUNISON SQUARE GARDENを聴いて欲しい、と願いつつ。
このバンドはアニソンとかロキノンとかそんな枕詞を抜きにしてもっともっと色々な音楽好きの人に聴かれるべきだと思うんです。
オマケ程度に、シングル4曲とナタリーの特集とTwitterの歌詞公開、あと「君の瞳に恋してない」のタイトルだけ知った状態で予想したアルバムの曲順を晒します。ぜんっぜん当たっていない(笑)。
グランジ曲
10 % roll, 10% romance
?
オーケストラ曲
SF曲
Silent Libre Mirage
ロカビリー曲
?
君の瞳に恋してる
?
映画『ヤング≒アダルト』
=
”37歳でバツイチ、恋人もいない、執筆中のヤングアダルトシリーズは終了間近で新作の予定も決まっていない自称作家のゴーストライター、メイビス (シャーリーズ・セロン)は、うかない日々を過ごしていた。そんな中、高校時代の恋人バディ(パトリック・ウィルソン)の妻から子どもが生まれたという内容のメールが届く。バディとヨリを戻し青春時代の輝きを取り戻そうと考えた彼女は、故郷の町へ舞い戻るが……。”(解説・あらすじ - ヤング≒アダルト - 作品 - Yahoo!映画 より)
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2017/11/22 UNISON SQUARE GARDEN Tour 2017-2018 “One roll, One romance” at CLUB CITTA’
UNISON SQUARE GARDEN Tour 2017-2018 “One roll, One romance” @ CLUB CITTA’
ユニゾンのシングルリリースツアーを川崎クラブチッタで見てきました。神奈川県民なのに何気にクラブチッタお初。
アルバムのレコ発ツアーじゃないという事で、新曲群は勿論だけれども昔の曲からどんな曲が選ばれるかがとても楽しみでセットリストのネタバレを見るのを一ヶ月間我慢して臨んだ今回のライブ。
また正直な事を書くと、最近リリースされている新曲群に少し好きになりきれない部分があり。今回のライブを観に行って更に熱が下がったらどうしよう、なんて心配もどこかにありつつ開演を待っていたけど、結果的にそんな心配は杞憂に終わった。このバンドのライブの持っていき方と演奏力、そして何よりメンバーの楽しそうな姿に心踊らされっぱなしなライブだった。
まだツアーが続くという事で少し間を開けて感想を。セットリストは文末に。
続きを読む2017/11/08 THE NOVEMBERS Tour -Before Today- at BLITZ
THE NOVEMBERS Tour -Before Today- 2017/11/08
1.再生の朝
2.バースデイ
3.Misstopia
4.keep me, keep me, keep me
5.美しい火
6.最近あなたの暮らしはどう
7.human flow(dip cover)
8.アンドロメタモルフォーゼ(Plastic Tree cover)
9.Morie
10.Sky Crawlers
11.dogma
12.こわれる
13.dysphoria
14.Xeno
15.黒い虹
16.今日も生きたね
アンコール:
17.Hallelujah
Wアンコール
18.黒い虹(爆音)
(5~9,16,17はゲスト参加)
8月の教会ライブ、10月のPELICAN FANCLUBとの対バンと約半年間観に行く機会を逃し続けて久しぶりのTHE NOVEMBERS。会場は赤坂BLITZ改めマイナビBLITZ。
ライブの前後1日は快晴だったのにこの日だけ生憎の天気でさすがの雨バンドっぷりを発揮してくれた。開場時間から少し遅れてフロアに入って安定の真っ黒なファッションモンスター達に囲まれつつ開演を待つ。
この日は前回のツアーファイナルでもあったVJの参加と、ホーン隊・ピアノが参加するパートがあっていつもより特別感のあるライブ。特に教会ライブが見れなかったのでゲストミュージシャンの参加を楽しみにしていた。
一曲目の再生の朝で早速虹色の光がメンバーの背後に映し出されてライブはスタート。高松さんのベースラインがアレンジされてて、原曲よりも疾走感があった。VJの映像に見とれていたら、何故か2001年宇宙の旅というか、異空間を駆け巡っている感覚が何故かした。何かが始まる歌。
バースデイ、Misstopia、keep me, と初期の曲を続けて演奏。Misstopiaは久しぶりにライブで聴いたけどやはり名曲。NOVEMBERSに出会った頃を思い出して感慨に浸ったり。
大まかだけど時系列に沿って演奏しているから、ああこれは歴史を辿っていくセットリストなのかな?と思っていたらゲストを呼び込んで美しい火。ライブの一曲目かクライマックスにやる曲の印象があったからこの位置は少し以外。
human flowは世の中を俯瞰で見つめているような冷たさや無機質さが印象深い曲だったけど、この日はトランペットの音が入って人肌の温もりを感じた。その中で小林さん一人になる所でのフロアを見据える鋭い目つきが冷たく光る。ラストの「wait for the light」、高松さんだけじゃなくゲストの方も歌っていたからコーラスが分厚くて賛美歌みたいだった。素晴らしかった。個人的なこの日のハイライトの一つ。
そして、今までライブで聴くタイミングを逃し続けていたMorie。ダン!ダンダン!の時の全ての楽器がフルパワーになる感じがたまらない。背後から照らされた光で吉木さんが高らかに腕を掲げたシルエットが浮かぶ。「ドアの向こうへ」の時にVJで光が差す階段を登って行く映像。この曲もNOVEMBERSを好きになったきっかけになる曲だったなあとしみじみ。すごく幸せな気持ちになれた。ポジティブなエネルギーがすごい。
一旦ゲストが退出してからはSky Crawlersで空気を変えてクライマックスへ。
こわれるのギターソロで、それまで緑系だった証明が点滅した赤色に変わったのがキレッキレなソロにずっぱまりだった。チェーンソーを振り回すジェイソンが脳裏に浮かぶ。
間髪入れずにdysphoria, Xenoとキラーチューンを連射してトドメの黒い虹。ラストの爆音パートに入った時に小林さんがギターを掲げた時にマイクスタンドが倒れて、代わりに高松さんのマイクをグッと引き寄せて叫ぶ。この時倒れたスタンドがスイッチャーに触れたかギターの音が一段階小さくなってしまっていた。だがしかし叫び切ってステージ前に踏み込んできたのめちゃくちゃ格好良かった。
この曲に限らずだけど、この日は曲の歌う所とは関係ない所で頻繁に吠えていたのが印象的だった。
本編ラストの今日も生きたね、アンコールのHallelujahと再びゲストを入れて演奏。個人的にHallelujah〆だと清々しい気分で帰れるから好きだなーと。イントロでホーン隊のお二人が手拍子を煽っていて、それに合わせて手拍子するお客さんもちらほら。少し珍しい光景だけどこういうのも良いなと思った。
Hallelujahもやったし客電も点いたしこれで終わりかなーと思っていたら小林さんが出てきて、三人もすぐに出てきた。全員イタズラをする前みたいな笑みを浮かべていたのを覚えている。
「本当はやるつもりじゃなかったんですけど…爆音じゃなかったと思うので、やり直しますね」と前置きして、まさかの黒い虹をやり直し。いつかのライブでXenoを同じ理由でやり直したのは知っていたから、爆音やり直しの現場に立ち会えて興奮した。
二回目の黒い虹、バンドはもちろんだけどお客さんのテンションも半端じゃなく高かった。一サビ後の絶叫、そこかしこで掲げられる腕。そして最後に宣言通りの一回目を超える音量で爆音を叩きつけてきて、何だか心の底から嬉しくなって爆音の中で声を上げて笑ってしまった。そして曲が終わってからもう一度雄叫びを上げる小林さん。もうこの格好よさ、手が付けられない。「大人気ない大人でごめんなさい!」いいんです大人になんかならなくて。だってこんなにも格好いいから。
全体としてこのバンドの両極端な魅力をたっぷりと味わえるセットリストと演奏だった。優しくて背中を押すような曲は凛とした姿勢で力強く、全てをねじ伏せるような爆音の曲はケダモノのように頭を振り乱しながら叫び散らして。
このバンドを好きになるきっかけだった曲(Misstopia, Morie)を聴けたのもあるかもしれないけど、このバンドが好きで良かったと思えた。THE NOVEMBERS、大好きだ。