映画『ヤング≒アダルト』

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”37歳でバツイチ、恋人もいない、執筆中のヤングアダルトシリーズは終了間近で新作の予定も決まっていない自称作家のゴーストライター、メイビス (シャーリーズ・セロン)は、うかない日々を過ごしていた。そんな中、高校時代の恋人バディ(パトリック・ウィルソン)の妻から子どもが生まれたという内容のメールが届く。バディとヨリを戻し青春時代の輝きを取り戻そうと考えた彼女は、故郷の町へ舞い戻るが……。”(解説・あらすじ - ヤング≒アダルト - 作品 - Yahoo!映画 より)

 

 

 

 

The Concept/Teenage Fanclubが冒頭で流れるっていう事だけ知って鑑賞。が、しかしこういった「なんとなく」選んだ時の方が面白い作品に出会えた喜びは大きいですね。めちゃくちゃ面白くて、でもどこかイタタな感じもありました。

 

とにかく序盤から「元彼のバディは今地獄みたいな生活を送っているはず、だから私とヨリを戻さなきゃ」「だって彼と私は運命の赤い糸で結ばれているのよ」なんて臆面もなく言えるメイビスのイタさが凄まじい。これ、登場人物の平均年齢が15歳くらいの見てて微笑ましくなる青春映画じゃないんです。おそらくみんなアラフォーな映画でこのセリフです。

 

自信満々で地元に変えてっきたは良いものの、バディと再会しても特に友人以上な雰囲気にはならず、しかも自分たちの思い出の曲のThe Conceptをバディの妻ベスとその仲間達がヘタクソながらも楽しそうに演奏する姿を見せつけられてメイビスとしては面白くない展開に。個人的にはこのシーンでの、都会でイカした生活を送っているように見えるけど公私共々穏やかではないメイビスと、裕福な生活を送っている訳ではないけど田舎で幸せに暮らしているベス、という対比も印象深かった。

挙げ句の果てに実は元カノである自分を子供の命名パーティに誘おうと発案したのはバディじゃなくて奥さんで、しかもその理由が「みんなあなたの事を可哀想だと思ってるからだよ」だとバディに明かされた後のメイビスの激昂する演技は凄まじかった。パーティー出席者全員の前で喚き散らして、唯一の理解者(でもないけど)の同級生マットに慰めてもらう、というプライドも何もあったもんじゃない結末を迎えた。

 

 

見終わった直後は「妄想狂の自業自得じゃん」って思ったけど、しばらくしてからメイビスだってもう色々行き詰まってて何かにすがりたかったのかもな。と思った。だって子供を流産して、作家とは名ばかりのゴーストライターでしかもそのシリーズも終わろうとしているっていう状況だったらそりゃあちょっとは現実逃避で妄想の世界に逃げ込みたくもなるかなあ、と。まあだとしても行き過ぎなのは事実だけど。

実際にメイビスほど暴走する人は稀かもしれないけど、「関係が修復不可能な状態になってしまってもあの人とは仲直りできるかも」レベルで妄想してしまう事なら自分にも覚えがある訳で。

一番何とも言えない気持ちになったのは、誰もメイビスを傷つけるつもりなんてなくて、優しさが色々と行き違って空回りした結果がこれだっていう事。現実もそういう事あるよなあと思わず遠い目になってしまいました。だからThe Conceptがテーマ曲なのか。”I didnt want hurt you.”って。

 

見ている最中は『あなたは、ワタシを、笑えない』なんてそんなぁとか思っていたけど、よくよく考えたらあながちあり得ない話じゃない、大人になりきれなかった大人達の青春映画。とても面白かったです。

 

最後に冒頭のワンシーンの動画を。Teenage Fanclubは最高です。


Young Adult / Charlize Theron ( Movie soundtrack OST / Teenage Fanclub - The concept )